木材まめ知識

木材まめ知識

日本人にとって「木のある暮らし」は、とてもなじみの深いもの。

木の建物やインテリアは、私たちをほっとさせてくれる何もいえない温かみがあります。

私たちの健康や地球環境に関心が高まっている今こそ、木の良さをもう一度見直してみませんか。

樹種の特徴と適正個所

構造材(住宅の骨組みとなる)
土台

土台

通し柱

通し柱

梁・桁

梁・桁

母屋

母屋

間柱

間柱

筋交い

筋交い

垂木

垂木

根太

根太

住宅の部位が必要としている性能によって、それに適した性能を持つ樹種の木材が使われています。

構造材(住宅の骨組みとなる)

土台桧、ヒバ、米栂(防腐注入)
桧、杉、ホワイトウッド(EW)
米松、国産松
米松、米栂、杉
母屋米松、米栂、杉

羽柄材(構造材を補い下地になる)

間柱杉、桧、ホワイトウッド 他
筋交杉、桧、米栂
垂木杉、米栂、米松、赤松
根太米栂、米松

造作・建具(表に見える)

杉、桧、ピーラ、米栂、スプルース、ヒバ

杉と桧

建材としてもっともよく利用されている杉と桧の特徴を紹介します。

杉 - 日本の隠れた財産

杉 - 日本の隠れた財産

杉丸太

杉の学名「cryptomeria japonica」はラテン語で「日本の隠れた財産」という意味です。

本州北部から屋久島にかけて分布していますが、天然杉は少なくなりほとんどが人工造林されたもので、植林は北海道南部にまでおよんでいます。

林業としての杉の植林は約400年以上前からともいわれ、古くから建築材や日用品などいろいろな用途に使われてきました。古代の住居跡から杉材が発見されることも多く、いかに古くから日本人の生活に結びついていたかがわかり、まさに学名のとおり「日本の隠れた財産」ともいえる木材です。

杉の名の語源は真っすぐにすくすく育つ「直ぐ木」(すぐき)から由来するといわれ、材はやや軽軟で切削などの加工をしやすいですが、その材質は気候や土壌、造林方法の違いにより幅広く変動していて、その特性により用途も幅広く使われています。

天然杉の古木には美しい杢目が現れ、伝統的な日本建築の装飾や工芸品の製作などに用いられます。


杉化粧用梁

杉化粧用梁

天然杉杢目

天然杉杢目

杉配列風景

杉配列風景

天然杉板

天然杉板

主な特徴用途代表産地
桧と同様に日本を代表する木材で、乾燥することにより、強度が増し腐りにくい。
年数のたった良材は木肌・木目が美しい。
杉は古来より日本人と共存してきた木で、
他の木材に比べ成長が早く生産性が良い為、全国各地で植林され安価で手に入りやすい。

柱、梁、桁 

羽柄材、造作材

屋久島・秋田・吉野・紀州・天竜

桧 - 世界でもっとも優れた材

桧 - 世界でもっとも優れた材

桧丸太

日本の代表的な樹種で、東北以南から屋久島にかけて分布しています。

弾力性、靭性に富み耐久性に優れており、古くから社寺仏閣建築の材料として用いられてきました。
世界最古の木造建築といわれ、建立から1300年以上の歴史を持つ法隆寺を支える材も桧が用いられています。
桧は伐採されてから200年間は強度を増していき、その後1000年かけて徐々に強度が低下していくといわれ、法隆寺で使われた桧は1300年経ってなお伐採時と同程度の強度を保っているといえます。桧は針葉樹としては耐久性や保存性が世界で最も優れた材です。

桧材は加工して仕上げると美しい光沢とやさしい雰囲気を持っています。特有の芳香があり、その香りは気分を落ち着かせる効果があり、アロマなど多くの人に好まれています。
また、殺菌効果をもつ有用な物質が多く含まれていることがわかっています。


桧化粧用梁

桧化粧用梁

桧杢目

桧板目

桧配列風景

桧配列風景

天然桧板

天然桧板

主な特徴用途代表産地
日本を代表する木材で、特有な香りには鎮静効果があり、耐久性、耐水性、抗菌性に優れている。

柱、土台、造作材

木曾・吉野・紀州・尾鷲・天竜・四国

杉と桧以外の樹種について

国産材

樹種主な特徴用途代表産地
ヒバヒバの特徴として独特の強い芳香があり、木肌の艶や木目は桧と同等。
耐水性・耐久性があり、腐朽性やシロアリに強い。
土台
造作材
青森・北陸
ヤニ(脂)を多く含み、粘りがあり、特に圧縮力に強い。比較的に安価で扱い易い
梁、桁
造作材
東北・中国・九州地方
硬く、重い。粘りがあり、耐久性に優れているので土台には最も適している。
伐採できるまでには長い年月がかかり市場にはあまり出ず、入手しにくい。
土台岩手・九州
ケヤキ強度が強く耐久性に優れている。
製品として加工するのに何年も乾燥させなければならず、高価な木材。
仕上がりの美しさは天下一品。
梁、桁
造作材
全国各地
赤松タルキ

ケヤキ

輸入材

樹種主な特徴用途代表産地
米栂
(ヘムロック)

比較的丈夫でヤニが無く、簡単に加工できる反面、
水分によって極めて腐りやすい。
国産の杉の代用として多く使われている。

桁、母屋
間柱、筋違
垂木

アラスカ州南部から
南西部太平洋岸
米松
(ダグラスファー)
国産の松が松くい虫などで確保が難しくなってきた事などの理由から、
国産松に変わって多く使われている。
ヤニが多く乾燥すると材の変形などの欠点があるが、大径で長い材が得られるので長尺材に向く。

梁、桁
母屋、筋交

カナダブリティシュコロンビア州から
カルフォルニア州 
欧州赤松
(レッドパイン)
材質はほとんど国産の赤松と同じで、年輪がはっきりとし、肌目は粗い。
国内では下地材として多く用いられている。

垂木 野縁
EW(柱、梁、桁)
化粧用集成材

ロシア・北欧
ホワイトウッド木質はやや軽軟で加工性が良い。乾燥による収縮は少なく、狂いは少ない。
耐朽性は極小。近年、対日本輸入量は北米材に変わり増加。

間柱、筋違
EW(柱、梁、桁)

ヨーロッパ・ロシア

(※)EW=エンジニアリングウッド(集成材)

米栂タルキ

赤松タルキ

集成材(EW:エンジニアリングウッド)について

ホワイトウッド集成柱

ホワイトウッド集成柱

米松集成梁

米松集成梁

集成材とは、一定の製造基準に基づいて人工乾燥した引き板から、大きな節や割れなどの欠点を取り除いたものを、木目にそって長さ・幅・厚さの方向に集成接着した材料のことをいいます。
大きな特徴は、節や割れの部分から壊れやすいというような欠点を取り除いていますので、狂い、割れ、ねじれ、曲がりなどが起こりにくく、強度もあります。

構造用集成材・造作用集成材など、用途により様々な個所に使用されます。

無垢材について

見た目は同じでも、無垢材を使う良さを知ってください

すべて天然の木材を使い、表面から内部まで同じ材質でできたものを無垢と言います。
これに対して薄くむいた板を接着剤で張り合わせた合板や、その上に木目調のプリントを貼ったものを新建材といいます。その中にはまったく木が使われていないものもあります。

一見、無垢材か新建材かの見分けは難しいものがあります。しかし、見た目は同じでも無垢によってもたされる効果は、新建材には期待できません。

無垢材

無垢材

合板・新建材

合板・新建材

無垢材の良さ

無垢材の良さ

断熱効果・調湿効果

無垢の木は小さな細胞の集合体です。その細胞に空気を含むことで、室内温度を一定に調節する能力があります。

また、湿度が高いときには吸湿し、乾燥すると湿気を放って室内を適度な室温に保ってくれる調湿効果もあります。

無垢材の良さ

体にやさしい

木に含まれているフィトンチッドという香りの成分は、人の気持ちを落ち着かせてくれ、カビやダニを寄せ付けません。

人体に影響を与えるような有害物質も含まれていないので、シックハウス症候群とも無縁です。

無垢材の良さ

経年美化

年月が経つにつれ、あめ色に変わり、光沢が出てきます。
変色したり傷がついても修理することで生まれ変わります。これは新建材に無い無垢の”味”です。

無垢材をリーズナブルに取り入れる

無垢材をリーズナブルに取り入れる

無垢材は工業製品とは異なり、内装材として室内で仕上がるまでは手間も時間もかかるので安いとは言えないかも知れませんが、材種や等級によってはリーズナブルなものもあります。節のあるものを使うとぐんとリーズナブルになります。

健康や安全性・環境などを含めてトータルに考えた場合、コストパフォーマンスは高いと言えるのではないでしょうか。

木のある暮らしと社会環境

木のある暮らしを選択することで、地球環境の保護になり、より便利で快適な生活につながります。

木のある暮らしと社会環境

木は温暖化の原因である二酸化炭素を吸収して、酸素を排出して成長するので、木造施設や木質材料を積極的に利用することは、二酸化炭素を木の中に固定することにつながります。

そして、木にも寿命があるので「計画的に伐採してまた植える」という再生の原則を守れば半永久的に利用できることになります。
木は環境に負担をかけない、きわめて省エネルギーな原材料といえます。


「木のある暮らし」を願いつつ、現実にはなかなかその理想を実現できない人が多いかもしれません。しかし、地球温暖化や環境ホルモンの脅威など、私たちを取り巻く生活環境には不安材料が押し寄せてきます。
そんな時代だからこそ、人と地球にやさしい木の持つ魅力をもう一度考え直してみたいものです。 木は太陽エネルギーと、大気中の二酸化炭素(CO2)と、地中の水を原料に成長していきます。


このCO2を吸収して固定する森林の特性が、地球温暖化を防ぐのに大きな役割を果たすことが明らかになっています。
木を生活の場に積極的に取り入れていくことは、結果として地球環境を保護して私たちの暮らしをより便利で快適にすることにつながっていくのです。